パン屋・ベーカリーの内装工事について
パン屋・ベーカリーは、テイクアウトを基本に営業しているところが多く、オープンに際し、このようなスタイルならあまりスペースが必要ないとお考えの方もいらっしゃいます。しかし、現実はそうではありません。パン屋・ベーカリーは厨房スペースをある程度広くとる必要があり、なおかつ、厨房機器や電気・ガスの工事などを考えると、内装工事にはかなりのお金がかかります。
パン屋・ベーカリーの内装工事は出費が大きくなる
パン屋・ベーカリーの内装工事は、一般的な飲食店を開業する場合よりもお金がかかるといわれています。一般的な飲食店であれば、開業資金の30~40%ほどを内装工事費用として見積もりますが、パン屋・ベーカリーの場合は50パーセント程度みておくのが無難です。当然、この割合は工夫すれば下げられますが、もし現在、パン屋・ベーカリーの開業をお考えの方で、一般飲食店並みの割合で内装工事費用を見込んでいる場合は、開業資金の50%は見込んでおいたほうがよいでしょう。
なぜパン屋・ベーカリーの内装工事にはお金がかかるのか
パン屋・ベーカリーの商売は、基本的に薄利多売です。
「おいしいパンを作れば売れる」
それはごもっともなのですが、ライバルの多い業態でもありますので、どのお店も努力しています。おいしいパンを作り、衛生的でさらにパンがおいしそうに見えるレイアウトやディスプレイを考える…おいしいパンを作るには、それなりに高性能な厨房器具を導入し、電気やガスなどの設備も、それらに合ったものを導入しなければなりません。高い性能を持つ厨房機器を導入すれば、熱も大きくなりますので、それを排出するために空調も整えなければならなくなります。
必要な厨房機器が多い
パン屋・ベーカリーのオープンでは、必要になる厨房機器が多いことも、開店資金を大きく圧迫する原因です。
パン作りでは、パン生地をこねるミキサーや、保管・発酵させるための機器も用意しなければなりません。当然、業務用のオーブンも必要です。揚げ物系のパンもメニューに含めるのであれば、フライヤーもそろえる必要があります。このように、パン屋・ベーカリーは、かなり専門的なお仕事であることがわかります。
もちろん、厨房機器の出費を抑える方法もありますが、少なくとも内装工事と同じ程度の金額の出費は想定しておいたほうがよいでしょう。あとは店の規模、物件選びや工夫によりできるだけ出費を減らして、できるだけ多くの資金を開業後の運転資金に回したいところです。
ベーカリーの内装工事について
先ほど、パン屋・ベーカリーの内装工事には、開業資金の50%程度かかるというお話をしました。では、具体的にはどの程度のお金がかかるのでしょうか?
坪単価40万円が目安
パン屋・ベーカリーの内装工事にかかる費用は、坪単価40万円を目安に計算するとよいでしょう。20坪の店舗だとすると内装を整備するだけで800万円ほどかかる計算になります。
パン屋・ベーカリーは、作業スペースが必要になるため、必然的に厨房を大きくとらなければなりません。これもパン屋・ベーカリーの内装工事費用を引き上げる一因に挙げられます。
資金を少しでもセーブするには
パン屋・ベーカリーを開業するには、なにかとお金がかかります。どうしても内装工事と厨房機器の導入が、開業資金の多くを占めるため、資金が潤沢に用意できない場合は、工夫してセーブする必要があります。開業後の運転資金は、少なくとも6ヶ月分は確保しておかなければなりません。
内装工事は相見積り
内装工事業者は数多くあります。施工料金はどこも異なりますので、いくつかの業者に見積りを依頼して、比較してから業者を選ぶのが得策です。そこでおすすめしたいのが比較サイトの利用です。
内装工事業者の比較ウェブサイトがありますので、いくつかよさそうな業者をピックアップして、相見積りを依頼します。見積りの内容を比較したあと、実際に現場をチェックしてもらってから作業を依頼しましょう。
相見積りは、決してもっとも安い業者を探すための方法ではありませんが、条件や作業内容を比較してもっとも合理的な業者を絞り込む方法としては最適です。もちろん、物件選びの段階で、ある程度、自分好みの内装が実現できそうな居抜き物件を選べば、かなりのお金をセーブすることができます。
リースや中古厨房機器の利用
新規オープンとなると、どうしても新しい機器をそろえたくなるものですが、お金がかかりがちなパン屋・ベーカリーの新規オープンでは、なるべく出費を抑えたいものです。
あまり資金に余裕がない場合は、大きな割合を占める厨房機器を中古やリースにすることで、かなりのお金をセーブすることが可能です。
パン屋・ベーカリーは「おしゃれ」も大切
ライバルの多いパン屋・ベーカリーは、味で勝負するだけではなく、インテリアで顧客を引きつける工夫も必要です。おいしいパンは、おしゃれにディスプレイすると、もっとおいしく見えます。スポット照明を利用するなど、自分でできることは自分でやると、内装工事費用を少しでも圧縮できます。
販売スペースのほかに、飲食スペースを設けるなら、居心地のよさを追及した内装作りが求められます。パン屋・ベーカリーには、ウッドがよく似合います。本物のウッドだとなかなかお金がかかりますが、今は安価な合板やクロスなどもあるので、利用してみるとよいでしょう。
パン屋・ベーカリーは、基本的には日中を中心としたビジネスになります。そのため、主婦やファミリー層がターゲットになることが多いので、内装も彼らに合わせて工夫するとよいでしょう。もちろん、ショップのコンセプトによっては、異なる時間帯、異なるターゲットになる場合もありますが、その場合もターゲットに合わせた内装にします。
パンをおいしく見せるには
おいしく焼き上げたパンを、もっとおいしく見せるには「見せ方」を工夫することが大切です。パンはおいしい食べ物ではありますが、パン屋においては、それ自体がインテリアだということを忘れてはなりません。
店内に足を踏み入れた瞬間、焼きたてのパンの香ばしさとともに、パンが目に入ってくる…パンそのものをディスプレイするつもりで並べることが大切です。また、「手作り感」もパンの魅力のひとつです。値札やパンの説明書きも、プリントアウトするよりも、ポップを使って人の温もりが伝わるような工夫をするとよいでしょう。
先ほど、少し触れた照明は、あまりお金をかけずに雰囲気を変えられるアイデアです。ディスプレイ用のライトは1,000円程度のものもあります。DIYやインテリア系の雑誌やウェブサイトでは、照明について取り上げているものもあるので、参考にするとよいでしょう。
パン屋・ベーカリーは「ナチュラル」や「温もり」がキーワードになります。ウッド、しっくい、石、レンガなどのナチュラル素材を内装に取り入れつつ、ライトで温もりを演出するのは、パン屋・ベーカリーのベーシックです。それに加えて他店との差別化を図れる何かを持つことで、お店を成功へと近づけられるのではないでしょうか?
まとめ
パン屋・ベーカリーの内装工事は、ほかの飲食店よりもお金がかかりがちです。資金をなるべく多く用意できれば理想的ですが、物件と厨房機器の選び方、そして「できることは自分でやる」ことで、開店直後の運転資金を増やすことができます。